お尽大葛踊仏ご児ち稚31伝え継ぐ技と心かはかなく、夢幻の境をさ迷うような感覚をもたらす。この長閑さとは逆に、激しく躍動で魅せるのがいわき市の「じゃんがら念」だ。8月の「お盆」(地域によっては7月)は先祖の霊が帰ってくる時期。古来の信仰と仏教が合わさって生まれた習慣で、日本中でさまざまなお盆の行事が行われる。「じゃんがら念仏踊」は8月に踊り手たちが過去1年間に亡くなった家族がいる家々を回り、舞って念仏を唱える。この念仏踊も始まりは江戸時代に遡る。太鼓と鉦が打ち鳴らされ強烈なグルーヴを生み出す中、10人前後の踊り手が激しく舞う。市内にいくつもの集団があり、お盆の時期には常にどこからともなく太鼓の音が聞こえてくる、いわきの夏の風物詩だ。同じく浜通りで受け継がれてきた伝統芸能の一つでくまある大熊町の熊のかぶり物を身に着けた男児が太鼓や笛の音に合わせて舞う。鹿とはシカやイノシシなど食用とされてきた動物を意味し、また精霊でもある。シシコと呼ばれる踊り手は4人の鹿役と1人の野猿役に分かれて舞う。江戸時代から200ぶつねんおどりかねしし鹿がわ川まい舞ししは、鹿年以上豊作や疫病除けを願い諏訪神社に奉納されてきたが、震災で熊川地区の住民は散り散りになった。しかし地元の小学生や保存会によって継承され、今も披露されている。尾村では葛尾じんだいかつらかつらお屋敷跡で能が催されている。大尽とは富豪のことで、江戸時代に、製鉄や生糸などの取引で莫大な財産を築いた豪商・松本三九郎一族の邸宅があった場所である。その屋敷に能舞台があり、そこで能が行われたという記録がある。開催される折には屋外に設置された能舞台で、かつての雰囲気に浸ることができる。請戸の田植踊毎年2月第3日曜日、浪江町請戸の苕野神社の安波祭にて奉納されている。津波で流された神社も再建。県内のイベントにも参加している、じゃんがら念仏踊毎年8月13日から15日までいわき市を中心に行われる。市内のあちらこちらから太鼓と鉦を打ち鳴らす音が響き、いわきの夏の風物詩となっている。熊川稚児鹿舞男児が踊る鹿舞は大熊町熊川地区で諏訪神社に毎年奉納されてきた。神社のある場所がいまだ避難区域となっているため奉納ができないが、イベント等で演じ、継承している。葛尾大尽屋敷跡 能・狂言葛尾大尽屋敷跡で行われる能・狂言。2019年に160年ぶりに復活した。実行委員会及び葛尾むらづくり公社が主催した。
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