56789 1 2 3 429伝統を受け継ぎながら馬とともに生きる町伝え継ぐ技と心浜通りで馬は特別な意味をもつ。相馬野氏族の相馬氏は領主として約700年間にわたり浜通りの北部を治めていた。相馬野馬追は相馬家の殿様の前で侍たちが馬術の技を競った行事だ。野馬追とは放たれた馬を追い込むことを意味する。藩が廃止された明治時代以降、行事は三つの神社の祭りへと形を変え、現在に至る。国の重要無形民俗文化財である。出陣式から祭りは始まり、南相馬市原町に甲冑に身を包んだ騎馬武者たちが400騎近くも集まる。重量12キロに及ぶ鎧兜に身を包んだ騎馬武者たちは、馬上に自らを表す旗印を描いた旗指物を立て、町を行列し、祭りの中心となる雲雀ヶ原祭場地に向かう。総大将は相馬家の子孫が務める。祭りの見せ場の一つが「甲冑競馬」である。甲冑姿の騎手たちが1200メートルのコースを馬を疾走させ順位を競う。まさに黒澤明監督の映画のような戦国時代さながらの騎馬武者の世界が目前に展開される。鎧武者を乗せた数頭の騎馬が目前を地響きとともに猛スピードで駆け抜ける瞬間、土埃の中で戦国時代の決戦の戦場に放り込まれたかのような感覚に陥る。続くしん「神の音ともに空に打ち放たれた神社の2枚の神旗を数百騎の騎馬武者たちが一斉に奪い合う。人馬一体の技が問われる。最終日には野馬を追い込み手で捕える昔ながらの「野争奪戦」では、戦いの合図となる法」の神事が行われる。南相馬は趣味のスポーツとして乗馬が楽しまれる町でもある。田園に囲まれたカリフォルニアライディングは、気軽に乗馬に親しんでもらうことを第一に掲げる乗馬クラブだ。インストラクターによる引き馬からグランドの外に出る本格的な外乗りまで経験に応じて体験できる。厩舎のすぐそばでキャンプや本格的なバーベキューを楽しめるのもここの魅力となっている。Horse Value も浜で馬に乗ることができる乗馬クラブだ。武者甲冑を着て市の中心街を練り歩くサービスも始める予定。代表理事の神さんは「人が馬と親しく接する社会は、健康的でより良い人生観を育む大切な鍵になる」と、馬と人の関係を探っている。 瑛相馬野馬追も乗馬クラブも馬への愛は変わらない。そして自治体も市民もみんながそれを後押ししている。相馬地方という名前そのままに、ここは人と馬にとって理想のエリアなのだ。ひばりはらかけじんようおいがいいちろうという馬と関わりの深い伝統的な一大行事があるからである。相馬地方は3日間、祭りの熱気に沸く。馬追のま螺貝旗馬懸きまほらの一郎1 相馬野馬追の甲冑競馬。1200メートルを地響きとともに駆け抜け、競う。2 神社の神輿にお供して町を練り歩き祭場地に到着。3 幣束を背負った馬。4 この日のために飾り立てられた馬が晴れ舞台へと向かう。5 カリフォルニアライディングではバーベキューが楽しめる。6 初心者はまず引き馬で乗馬(カリフォルニアライディング)。7 Horse Valueでは太平洋を望む浜での乗馬体験ができる。8 Horse Value代表理事の神 瑛一郎さん(左)は、南相馬に移住してこのビジネスを始めた。9 南相馬市博物館では野馬追の歴史を楽しく知ることができる。相馬野馬追約1000年前に起源をもつ約400騎の騎馬武者が集う浜通りの伝統行事。3日間にわたり行われる。甲冑競馬、神旗争奪戦は2日目に行われる。カリフォルニアライディング乗馬クラブとして経験者だけでなく、初心者、ビジターが乗馬を楽しみ、馬と触れ合うためのプログラムをさまざま提供している。BBQや馬への餌やり体験を含むキャンプなども人気。Horse Value南相馬市小高の町を馬に乗って散歩したり、森や浜辺でホーストレッキングをしたりすることができる。Horse Value代表理事は障害馬術の競技選手でもあり、東京から南相馬市に移住して起業した。南相馬市博物館南相馬市の自然や歴史・民俗を学べる博物館。野馬追に関する展示も立体的で充実しているので、博物館で知識を身に付けてから野馬追の祭りを観ると、見方も俄然変わってくる。愛しき馬たち
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