23里と山の暮らし日本の美意識の表れだ。阿弥陀堂の三方を池が取り囲み、正面に架かる橋をわたって中の島を経由し、参拝者はお堂に至る。阿弥陀堂内部は阿弥陀如来像を中心に5体の仏像が安置されている。橋のこちら側は現世、向こう側は信じることによって死後迎え入れられる、阿弥陀仏のいる世界である極楽浄土という平安時代の庭園様式である。どの季節に訪れてもいいが、紅葉の時期のライトアップされた白水阿弥陀堂は、普段とは違う気配を漂わせ、幽玄の世界へと私たちを誘う。大悲山の磨崖仏も白水阿弥陀堂も、周囲を取り囲む自然がそのものの存在を際立たせている。日本人は自然の中に八百万の神を見て、四季ごとに異なる様相を見せる自然の美しさや荘厳さに、常に魅了されてきた。薄紅の花を一斉に咲かせ、風に乗ってはらはらと散る桜もその一つで、桜の開花によって人々は春を感じ、喜びに浸ってきた。富岡町の夜ノ森の桜並木は、春の桜の時期、ピンク一色の桜のトンネルとなる。その光景を求めて訪れる人は絶えない。夜ライトアップされると桜並木は幻想的な世界に変貌し、桜の精がそこにいるかのような妖しさを湛える。秋の紅葉も人々の心を捉える。1色に染まらず、種々の落葉広葉樹がさまざまな色に変わる多彩さが日本の紅葉の特徴だ。楢葉町の木戸川渓谷では、紅葉の時期、谷をさまざまな色が覆い、日本の渓谷美とは何かを教えてくれる。錦秋という言葉があるが、まさに極彩色の紅葉の世界。これもまた極彩色の浄土であるといえるだろう。日本の色彩はみな紅葉から生まれたのかもしれない。よ大悲山の石仏日本三大磨崖仏の一つとされる、南相馬市小高区にある石仏群の総称。薬師堂石仏、観音堂石仏、阿弥陀堂石仏の3か所があり、保存状態は薬師堂がもっともいい。白水阿弥陀堂浄土式庭園を有する平安時代の仏堂で、堂内の拝観が可能。秋のライトアップや、堂内におけるプロジェクションマッピングなどのイベントも行ってきた。木戸川渓谷木戸川の中流域は深いV字谷となっていて、豊かな樹林が広がる。木戸ダムの下流に約3キロの遊歩道が整備され、岩や滝の景観とともに新緑や紅葉を楽しめる。夜ノ森の桜全長2.2kmにわたって420本の桜が植えられている、浜通りにおける桜名所。道路を覆い尽くす桜のトンネルで知られ、ライトアップも行われている。
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