4567文え恵いと戸9井湯の良さとは泉質である。温泉にはさまざまな成分が溶け込み、温泉地によって湯の肌触りや効能が異なり、泉質がそれぞれの温泉地の特徴となる。いわきの温泉は硫黄、ナトリウム、塩化物の3つの成分を含み、美肌作用や末梢血管拡張作用、血圧の低下、高い保温効果などで知られる。優しく肌を包んでくれる滑らかな“いいお湯”である。 1 2 3風と光のアクティビティ海外からの観光客が日本で体験したいことのアンケートで上位に来る一つが温泉体験だ。広々とした露天風呂で日本庭園を眺めながらゆったりと身を湯に浸す開放感とホスピタリティを一度経験して “やみつき” になる旅行者が多い。火山の多い日本は温泉地の数も多く、福島県だけでも130か所近くある。その中で浜通りを代表する温泉がいわき湯本温泉だ。1300年の歴史をもつ温泉で、現在は温泉旅館が軒を並べる。旅館では主人にかわって「女将」が旅館の顔として前面に立つが、湯本温泉の旅館の女将たちは元気である。旅館の切り盛りはもちろん、最近は“フラ女将”として売り出し中だ。“フラ”はハワイの舞踊のフラで、いわきにある大型レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」にちなむ。町のイベントなどで着物姿で艶やかにフラを踊る。始めたきっかけは震災だったという。観光客が激減し町は厳しい状況に置かれた。幸いなことに避難などの必要はなかったのだが、町自体にもう人が住んでいないという風評が流れたのである。しかし、震災後も町では普通に暮らしは営まれているし、子どもたちも明るく元気に暮らしている。1940〜50年代、いわきの石炭産業とともに栄えてきたこの町がこのままでは消えてしまうという危機感に襲われた。そんな時にフラを習っていた女将たちが立ち上がったのである。「“いいお湯”がある町だということをどうしたらもっと知ってもらえるかと考えた時、ここは日本におけるフラの発祥の地だからフラと融合した町にしようということになったんです」と「Ryokanこいと」の女将、こ小さんが振り返る。町には公衆浴場の「さはこの湯」や足だけ浸かる足湯もあるが、せっかくなら旅館に泊まってみたい。洗練された和の空間や日本料理、こまやかな気遣いといった日本流の「アロハ」のもてなしを楽しみつつ、温泉を堪能する。身も心もほっこりと温まることだろう。ふみ1 いわき湯本温泉のフラ女将たち。背景は湯本温泉の鎮守として知られる温泉神社の本殿。2, 3 いわき湯本温泉の旅館「雨情の宿 新つた」の客室と露天風呂。しっとりとした緑に囲まれた空間。4 いわき湯本温泉の街並み。大きな温泉旅館街だが、ふらりと散歩したくなる静かな一角もある。5 旅館で人気の日本酒、太平洋桜酒造の純米酒「絆」のフラ女将ラベル。6 いわき湯本温泉の旅館「雨情の宿 新つた」の季節感溢れるオードブル。7 いわき湯本温泉の日帰り入浴施設「さはこの湯」では手軽にいわきの湯を楽しめる。いわき湯本温泉常磐線「湯本駅」から温泉通り沿いに広がる温泉街。公衆浴場も3つある。湯量が毎分5トンと豊富で、泉質の効能から「美人の湯」といわれる。関西の有馬温泉、四国の道後温泉とともに、日本三古泉の一つともされる名湯。温泉神社創建は7世紀。現在の地に遷座したのは18世紀とされる歴史と格のある神社。湯ノ岳を神体山とし、温泉の守り神として街の人々に親しまれている。延喜式内磐いわ城き七社の一つ。さはこの湯江戸時代の風情を再現した和風建築が一際目立つ、いわき湯本温泉の共同浴場。源泉掛け流しの硫黄泉で、岩風呂と檜風呂があり、日替わり男女入れ替え制。癒やしの温泉温泉宿で体験する「おもてなし」
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